私はカボチャが苦手だ。
食べても口の中で甘ったるいネチョネチョ感が広がり、
それを喉の奥へ、そして食道へ胃へと押しやるだけだ。
私が小学生のころ、よく祖母のうちにお泊まりにいっていた。
女学校出の料理好きな祖母であったが、得意なのは、カボチャの煮物。
それを私に食べさせながら言う。
「戦争の時はね、食べるものがなくて、痩せて苦労した。自分たちの畑でカボチャを作って食べたの。みんな死ぬ思いをしたのよ。それを今の子供達は、簡単に食べられるんだね。」
私はそれ以来カボチャが大嫌いだ、と思いながら食べるようにしている。
先日、1歳7ヶ月の息子が器用にフォークを使って、
ふくよかな手で、ふくよかなカボチャを器用に食べていた。
この光景をその当時見ることができたのだろうか。
カボチャはどうも好きになれないし、戦争だけは絶対に胃が受けつけないと思う。